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審美修復治療における歯の色について
2017年9月13日一般的にいう白い歯というものは、健康的な、清潔感のある、明るい口元、というようなイメージがあります。
ただ、この「歯の色」というものが非常に難しいものなのです。
天然の歯の色というものは、薄い貝殻のような透明感もあり、その中に何層もの複雑な色の構造があります。
光の当たり方や、光源、つまり太陽光や蛍光灯、白熱灯などによっても色の見え方が異なり、また歯の水分を含んでいる量によっても色が異なって見えてくるのです。
つまり十分に湿潤しているか、乾燥しているのかによって、色が異なります。
同じ歯だったとしても、目が覚めて起きたばかりの午前中は乾燥していて白っぽく見え、夕方以降の十分に歯に水分が取り込まれた後は色が濃く見えます。
そのような天然の歯の織りなす複雑な色の表現を、セラミックという人工物で近似させるということが、審美修復治療の目標となります。
複数本の治療の場合は全体的な調和を崩さないように綺麗に作っていけば良いのですが、全て天然歯の中で一本だけの修復となりますと、これは非常に難易度の高い治療となります。
今回の患者様は、転倒して歯を折ってしまわれた方で、左上の一本だけの審美修復治療の依頼でした。
マイクロスコープ下において歯を精密に形成し、それに合わせてセラミック担当歯科技工士もマイクロスコープ下において精密な被せ物を製作していきます。
当院では複数社のシェードガイドという歯の色見本と、大量の写真情報の共有により、できうる限りオリジナルの天然の歯の色を再現していきます。
また試し入れの際には、室内だけではなく、太陽光の下でも患者様にご確認頂いております。
完成時には「どこの歯を治療したかわからないですね、本物みたいでびっくりしました」とご満足頂くことができました。
これからも試行錯誤を重ね、より良い治療結果を目指していきたいと思います。