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Tadao Ando

2008年10月21日

先日ハーバーランドにある神戸新聞松方記念ホールで行われた、神戸観光シンポジウムに参加してきました。
いわずと知れた、日本が世界に誇る建築家、東京大学名誉教授の安藤忠雄氏による講演
で、
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2003/andou.html
その他に、神戸市長や、デパ地下グルメで有名なRF1や神戸コロッケプロデュースのロック・フィールド代表の岩田弘三氏、
映画「GO」「僕の彼女はサイボーグ」「クローズ ゼロ」などを神戸をロケ地として誘致した、神戸での映画ロケの支援活動をする神戸フィルムオフィス代表の田中まこ氏が講演されていました。
なかでも、やはり今回私がこの講演会に足を運んだ最大の目的である、世界の安藤氏に逢えたことが何よりのお土産でした。
初めて実際の安藤氏にお逢いし、講演を聴かせて頂いたり、著書にサイン(待合室の本棚に並べております)を頂いたりしましたが、やはり世界のトップとなるとまた違う何かを感じました。
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いわゆる圧倒的なオーラや、カリスマ性を想像していたのですが、とても力の抜けた自然体の方で、講演の仕方も落語を聞いているような、風刺も効きつつ、それでいて嫌みのないように今の現代日本を世界の目から見てこう写っているという皮肉もジョークもふまえつつお話し下さり、とても楽しい講演でした。
そして、静かで強い情熱もひしひしと感じました。また、天才肌の方独特の不思議な雰囲気もお持ちのようにも感じました。
お話を聞いていて、とても印象に残ったお話は、魅力ある「町」作りをする為には、まずは「町」を作るのは「人」なんだから、その「人」自身が魅力ある人間にならなければ、いい「町」は作ることはできない。
その「人」の感性や、価値観を磨くということにもっともっと活動的になって欲しい。といったメッセージでした。
海外にいると、よく日本人の中年女性の観光旅行者に出逢う機会が多いらしいのですが、男性に会う機会は少ないのだそうです。
そして、海外の目から見た日本人女性はとても若く見えているのだそうです。
この若さの秘訣は何かというと、それは「好奇心」であり、「興味」なのです。
この好奇心が色々な物を見たり、聞いたり、体験しようと女性を突き動かし、世の中の流行という物は女性が作り出すのです。
実際ヨン様ブームもあれだけ情熱的に動いていた方々は全ていわゆる日本のおばちゃんのパワーです。
反面、日本人男性に目を向けると、休みの日は家でゴロゴロ寝ているか、外に出るのはゴルフくらい。
嫁は海外までいってエステを何時間も受けているのに、旦那は10分でラーメン食べて満足している。
これでは日本は良くならない、完全に平和ボケしているのではないかと。
だからこそ、別に特別なことをしろとは言わないが、たまに映画館に行って、映画を見たり、分からなくても美術館や博物館や、演劇や、歌舞伎や能などを鑑賞しにいって、少しでも文化活動をし、感性を磨いて下さい。
たまには車ではなく、ゆっくり町を歩いて色んな物をゆっくり見て感じて下さい。
それこそが、いい人を育ていい町を作るのではないかというお話でした。
そのほか、建築はただ作るのではなく、子供のように育てていかなければならないと、必ず建築物の周辺には植林をされるのださそうです。
それが5年、10年の時を経ることによって、森の中の建築物に育っていくのだとおっしゃっていました。
安藤忠雄氏の建築といえば、コンクリート打ちっぱなしの幾何学的で壮大なもののイメージですが、実際完成して、5年、10年経ったものは確かに緑豊かな森の中にひっそりとたたずむ物に仕上がっているのです。
淡路島の夢舞台がその代表のようです。もともと、草一本全くないはげ山からスタートし、今となっては大きな森に成長しています。
その一貫として、ユニクロ等で展開されている、日本にもっと植林をしようと瀬戸内オリーブ基金とい慈善団体も支援されているようです。
http://arc-no.com/arc/arc1-26.htm
講演会に行くまでは、建築の物造りのお話を想像していましたが、その枠を大きく超えて、町づくり、環境作り、人の憩いの場作りのお話で、とても刺激になり、自分の仕事に対する考え方にもいい影響を頂いたように思います。
これからも、歯科の勉強だけでなく、様々な分野で世界で評価されておられる方々にお逢いし、そのエネルギーに触れていきたいと思います。

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