医院ブログBLOG

マイクロスコープ治療の一部始終

2011年1月20日

マイクロスコープを使用し始めて、早いもので半年の時が過ぎ、日々の診療がどんどん進化しつつ、自分が行ってきた治療の再確認もでき、いつの間にかなくてはならない大切な相棒になっていっております。
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マイクロスコープの素晴しい部分はもちろんよく見えるということですが、もう一つ大きなメリットがあります。
それは、記録をすることができるという事です。
当たり前のことのようですが、患者様は横になってタオルをかけられてしまえば、もう何をどうされているのかも分からず、いわゆる「まな板の上の鯉」となってしまいます。
もちろん治療後、レントゲンや、アニメーション、図を書いたりして説明を行いますが、どうしても限界があります。
その中で、実際マイクロスコープで大きく拡大して写した写真や動画をお見せすれば、一目瞭然で理解して頂くことができます。
より深いインフォームドコンセントを行う事ができるのです。
そういった意味では、マイクロスコープで覗いている強拡大下の記録は大変重要なものとなります。
実際、我々歯科医師の勉強会も、マイクロスコープで覗いた画像をライブで流して説明すると言ったシーンも多くなってきています。
そこで、今回は実際マイクロスコープでどこまで見えるのか、そして実際の治療はどんな事をやっているのかをたくさんの写真で説明してみたいと思います。
まずは、どこまで拡大して見えるのかです。
マイクロスコープで一番効果を発揮するのが歯の根の治療です。
正直肉眼では針の穴ほどの小さな穴の治療なので、目で見るというよりかは、手の感覚とレントゲンでの予測に頼って行うのが従来の方法でした。それをより確実なものにする為に、マイクロスコープは非常に有効で、手の感覚ではなく実際に「直接見ながら」治療することができるのです。
ではその画像です。
3倍
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5倍
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結構大きくなってきました 8倍
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まだいけます 12倍
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さらに 20倍
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ここまで来ると、針の穴というよりかは、鍾乳洞のような洞穴です。
この中を綺麗にするのはとはも時間がかかり難しい治療ですし、私自身もこれを見たとき愕然としました。
さて、実際歯の根の治療を終了をした後どのような行程を踏むかを説明します。
歯の根の穴の中に最終的なお薬が入った所です。
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最終的には金属の被せ物をする予定ですので、その前準備として歯の中の空洞部分に土台をたてていきます。
神経を取った歯は、枯れ木と同じく、割れやすいので、歯と同じ弾性係数をもち、同じようにしなってくれるグラスファイバーの土台を入れていきます。
写真はそのファイバーの土台を試し入れして、適合をチェックしている所です。
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その後、特殊な接着剤を塗り
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光を当てて硬化させます。
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そして、グラスファイバーを包む樹脂を流し込んでいきます。
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流し込んだ樹脂と、グラスファイバーを一体化させた所です。
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もう一度光を当てて、樹脂を硬化させます。
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これで歯の中がグラスファイバーと樹脂で補強された状態です。
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ここから、歯を被せ物を作りやすい形に整えていきます。
この作業も非常に重要で、これもマイクロスコープを覗いて、いかに滑らかにシャープに形成するかが後々の治療結果を大きく左右します。
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形成し終わった所です。
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これを、精度の高いシリコンゴムの型取りの材料で型取りしていきます。
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この型に精密な石膏を流し、技工士も同じようにマイクロスコープを覗いて被せ物を作製してきます。
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出来上がった被せ物です。
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ここで重要になるのが、歯と、被せ物のつなぎ目です。
専門用語で「マージン」と言いますが、このマージンの適合に命をかけている歯科医師や、歯科技工士も多く、私もその一人です。
なぜかと言いますと、ここに大きな隙間や段差があれば、そこからまた虫歯の細菌が歯の中に侵入し、数年後新しい虫歯を作ってしまいます。なので、よく患者様の声に「治療した歯ばかりがまた虫歯になってしまう」というものがあります。
全てこれが原因とは言いませんが、肉眼で治療するとどうしても400ミクロンから500ミクロンの隙間ができると言います。
細菌の大きさは1ミクロンくらいですので、正直谷底くらいの隙間です。
それをマイクロスコープを使用する事により、以下に0に近づけることができるのかが大切になります。
もちろん人間の手でやる事なので、隙間0というのは不可能ですが、それを1ミクロンでも少なくする事にこだわるのが歯科医師の使命だと思っています。
そこで大切なのが、歯の滑らかな形成であり、より明確な型取りになります。
いくら有名な技工士でも、歯の形成がガタガタだったり、綺麗に型取りができていなければ、どうやっても適合のいいものは作れません。
つまりこの部分です。
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さらに拡大します。
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この部分がいかに連続的で、スムーズは曲線を描いているかです。
そして、その上で作製された模型です。
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更に拡大して大切なのはこの部分です。
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この薄く赤い線で描いてあるのがマージンです。
このマージンにいかにぴったり適合するものを作るのかが技工士の腕の見せ所です。
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更に拡大。
DSC00066.jpg
この写真は、肉眼で作ったものと、マイクロスコープを使用して作ったものの比較写真です。
マージンフィット1.jpg
同じように丁寧に作ったとしても、このような差が出てしまいます。
左の肉眼で作ったものは、やはり表面がザラザラしていて、隙間があります。
反対に、右側のものは表面も滑らかで、隙間も殆どありません。
どちらが汚れがたまりやすく、虫歯になりやすいのかは一目瞭然だと思います。
この部分の適合が長い目で見た場合の歯の寿命にもつながってきます。
非常に手間ひまもかかり、患者様にもご協力頂けなければなりませんし、反対に、この部分は患者様には見えない部分です。
ですが、この見えない部分にプライドと情熱を注ぐことができるのかが我々の大切な仕事だと思います。
これからも1ミクロンでも精密な仕事を目指して精進していきたいと思っています。
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