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自分の進むべき道。。。

2012年11月20日

先日インテックス大阪にて開催された、日本で一番大きなデンタルショーに、当院の入れ歯担当技工士の森永さんと参加してきました。
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デンタルショーというのは、モーターショーなどと同じく、パンフレットやCMなどでは分からない部分を、実際に実物を見て触って体験して、その商品の細かな説明を聞く事のできる、見本市のようなものです。
今回は日本最大の物だったので、とても大きな会場で、各社のブースもとても力の入った物でした。
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久しぶりに参加したデンタルショーでしたが、医療機器のものとは思えない一般企業さながらの物で、各社趣向を凝らしたブースがたくさん出ておりました。
そのそれぞれのブースにおいて、それぞれのメーカーの看板歯科医師による様々な先端歯科医療のプレゼンテーションセミナーが行われておりました。
中でも、目立ったのは従来は歯科独特のメーカーしかなかったのですが、今回の物は一般企業メーカーの歯科への進出があり、閉鎖的だった歯科の新たな展開を感じました。
サングラスメーカーのオークレーが拡大鏡を眼鏡サロンのようなブースで表現したり、スポーツブランドのアンダーアーマーがプロ野球選手をモチーフに、スポーツマウスガードを展開したりと、今までと違う雰囲気でした。
また、スマートフォンや、タブレット端末、wifi環境の広がり、アプリのダウンロードという機能の広がりによって、カルテコンピュータや患者様の予約ソフト、プレゼンテーションソフトが一気に広がり、機能も飛躍的に向上しました。それによって、今まで会場の隅っこで展開されていたそのようなシステムソフトウエアを展開していたメーカーが、かなり大きくブースを構えておりました。
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これも従来と大きな変化だと思います。
このようなデンタルショーに参加すると、今の現段階の日本の歯科界がどのような方向に向いているのかがよくわかり、とても勉強になります。
大きくまとめると、子供の頃からの予防や矯正治療によって、よりよい口の環境を作り、一生自分の歯で生活できるような状態を作っていく。それでも虫歯になってしまった歯は、顕微鏡などの拡大機器を使用して、歯を削る量を最小限にし、より確実な治療を行っていく。それでも失ってしまった歯は、再生医療とインプラントを駆使してなんとか入れ歯を使用せずにすむような環境を作っていく。
その分かりにくい口の中をより分かりやすくする為に、口の健康に対する意識改革を行って頂く為に、様々なプレゼンテーションソフトを使用して説明を行っていく。
全体としてはこのような状況だったように思います。
大きな会場をバタバタと早足で見て回った後、午後からは別会場に移動し、「摂食嚥下」をテーマとした「食医のつどい」という勉強会に参加してきました。
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高齢化社会が進む日本の中で、在宅医療や、終末医療の介護の現場の中で、口から飲み込むことができない、飲み込もうとすると器官に入りむせてしまう、それによって誤嚥性肺炎を起こし、場合によっては命を奪う問題となってしまう。
この「摂食嚥下障害」という物が介護の場において一つの大きな問題となっております。
人間の最後の欲求である食欲というものが奪われ、胃や腸からのチューブで送り込まれる栄養に切り替わると、人間としての尊厳が失われ、急速に体力も低下していきます。
また、長期的な入院や在宅医療の場では、この命を奪う原因にもなる誤嚥性肺炎をできるだけ回避するべく、お口の中のケアをなんとかできないかという取り組みが行われております。
そのような医療の現場の最前線の中で、この摂食嚥下、口腔ケアという取り組みに対し、真剣に取り組んでいるのが、様々な科のお医者様であり、看護師さん、ケアマネージャー、介護福祉士の方々です。
そうです、残念ながら口の分野の事なのに、あまりこの領域に歯科医師や、歯科衛生士が入り込めていないのが現状なのです。
実際、この勉強会に参加されているのも、歯科関係の方は少なかったように思います。
この問題をどうにかできないのか、医療の最前線の場で、様々な科のドクターと、看護師さんやケアマネージャーの方々と、チームとなって、歯科の人間がもっと医療の現場に、命の現場に関わっていく事ができないのか、という取り組みを行っておられるのが、このDHPという勉強会です。
大阪大学歯学部の研究チームが主催となり、口腔ケアや摂食嚥下に対する様々な知識の共有、摂食嚥下トレーナーの育成などを行っておられます。
http://npo-dhp.org/
これもまた不思議なご縁なのですが、この摂食嚥下の世界を躍進的に引っ張っている若手のリーダーが、私の高校時代の塾の講師だった、野原幹司先生です。
まだおぼろげながらに歯学部を目指し始めていた私に、当時大阪大学の大学院生だった野原先生が、歯科医師という仕事の素晴しさ、今の歯科界の現状、など日々熱く語って下さったおかげで、本格的に歯科医師の道を志すことができるようになった、私の原点となる恩師の先生です。
「歯だけを診ている歯の技術屋になるな、その人の口を通して全身のことを、そしてその人の人生を考えられるようなドクターになれ」
「俺が日本の歯科界を変えてやる。。」
いつも口癖のようにおっしゃっていた言葉です。
そして、それから15年の時が流れた久しぶりの再会でしたが、まさにそれを有言実行されたお姿がその場にはありました。
歯科界が歯科の最先端を極めようとすればする程、高齢化社会が進む日本の医療の場とはかけ離れた世界に進んでいくことになる。「医療の場のど真ん中で」歯科の人間が仕事ができるようにならなければならない。
そんなメッセージの勉強会でした。
午前中は、いわゆる歯科の最前線の世界を垣間みて、午後からは医療の命の現場の最前線をみて、真逆の世界を一気に垣間みる事となり、かなり衝撃的な一日でした。
帰りの電車の中で、自分は一人の歯科医師として何ができるのか。。。
今後どのように進むべきなのか。。。。
という暗中模索のような、いいようのない気持ちになりました。
この一年間、本当に様々な事にチャレンジしてきました。
新しい治療アプローチ、新しい医院のシステム、歯科だけではなくその他の様々な業種の方々との新たなつながり、、、、
「変革の年」となるのではと、本当にありとあらゆる事を試行錯誤した一年だったように思います。
その変化の多い一年の最後の締めくくりに、この午前と午後の日本の歯科の現状をみて、これからの自分の歯科医師人生を見直すいい機会になりました。
悩んで、悩んで、正直何の答えも自分では導き出ませんでしたが、ふと自分の日々の診療を振り返った時に、その答えは患者様の中にありました。
日々様々な患者様が来られますが、何気ない事でも、患者様が心から喜んで下されば、何よりのやりがいを与えて頂くことができます。反対にこちらが最善を尽くしてもご満足頂けなければ、自分は歯科医師に向いていないのではないかと、歯医者をやめてしまいたくなるくらい、強烈にへこんでしまいます。
つまり、目の前の患者様こそが、自分の歯科医師としての使命感や、やりがいを大きく左右し、その目の前の患者様にとことん向き合う事が、自分が自分らしく進むべき道なのかなと、当たり前のことなのですが、心の奥底で再確認できたように思います。
医院の中のこの一年の様々な取り組みも、試行錯誤の結果として、最終的には開業当初のシンプルなスタイルに戻る事が答えとなりました。
完全予約制、完全個室、一人貸し切り診療にて、全て私自身が目の届く範囲の中で、真剣に一人一人の患者様に向き合いたい、それが開業当初の診療スタイルです。
一日30〜50人の患者様を、たくさんのスタッフがシステマチックに診る事が日本の歯科医療の大多数の中で、一日5人程度しか診ない特殊な診療体系にこだわったのも、全ては、一人一人の患者様と真剣に向き合いたかったからです。
何が正しいのかは私には分かりませんが、日々の目の前の患者様のお悩みに答える臨床家として、
有名になることでもなく、医院を大きくする事でもなく、最先端を突き進むことでもなく、ただただお一人お一人に真剣に向き合う事を最優先に、今一度スタートラインに戻りたいと思いました。
今年は、「変革の年」ではなく、「原点回帰」の年として締めくくることになりそうです。
とても長くなってしまいましたが、たくさん想うことがあり、自分の心と頭の整理をふまえて書き綴ってみました。
ブログではなく、道に迷った時の、将来への自分への手紙なのかもしれません。
何がいいたいのかよくわからない文章になってしまいましたが、最後までお読み下さり本当にありがとうございました。

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